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「ん~……。どんな方がカミサマの試練にふさわしいか聞いてなかったですぅ」
レナは空を飛びながら独り言を呟いてます。
純粋なのでただカミサマが暇つぶししたかっただけとか一ミリグラムも知りません。
「あ、あの方に聞いてみましょう」
誰かを発見したようで地上に向かって行きました。
でもあの人、裸足でアフロですが本当にあのおっさんでいいんでしょうか?
ストッ
キレイに着地して翼をしまうレナ。
おっさんに近づこうとしたら逆におっさんが寄って来ました。
「はて? アンタ今空飛んでたということは……わしが見た幻ですか?」
なんか変なおっさんです。
仮に幻だったとしたら話しかけるのもどうかと思います。
「あ……いえ、信じられないかもしれませんがわたし、天使なんです」
「信じる信じないはわしの自由です。以上で答弁を終わります。反対意見は聞きません」
なんですかこのおっさん。
意味不明過ぎです。
「そうですね、簡単に信じていただけないのもわかります。あの……わたし、神の試練を受けて更正すべき地上人を探しています。お心当たりの知人の方はいらっしゃいませんか?」
意味不明なおっさんにもちゃんと答えるところは流石天使。
……更正すべき人はレナちゃんの目の前でボケーッと口開けてますが?
「ほほぅ、それは興味深い話ですな。実はわしの部下に清水という男がおりましてな、こやつがわしに様々な必殺技をかましてきて困っているんじゃよ」
おっさん曰わく清水という男は部下らしいです。
「まぁ!? 目上の方にそのような行為はよくないですね。ぜひその清水さんに会わせてくださいっ!」
純粋だから信じちゃいました。
外見も言葉も胡散臭いおっさんを。
そしてやる気全開です。
本当にマジメな子なんです。
「我が名はオシリスカ・ミガモレル。ふふふ、お前さんの名前は何だったかわかるかな?」
「え!? あ、申し遅れましてスイマセン。わたし、レノアリア=ソフィー=ランティスと申します。レナと呼んでください」
「ふむぅ、レノアリア……レノア。柔らかく仕上がりそうなお名前じゃよ」
ニコニコ笑ってるおっさんとは対象的にレナちゃんは目を伏せてしまいました。
なんだか両の拳を握りしめています。
「………………ア!?」
レナちゃんの声が怖いです。
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