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「夜が怖いのですわ」
白雪姫は、真顔で答えました。
小人はドアの前にしゃがみこんでいる女性をざっと観察しました。
明らかにお姫様な格好は、木の枝や草で汚れ、美しい顔立ちにも疲労が見て取れました。
「なんだい、姫様。お付のものとはぐれちまったのかい?」
小人な男はポケットからタバコを取り出すと
慣れたしぐさで火をつけました。
妙にきまっています。
「いいえ、見つかるわけにはいかないのです。」
姫はまたも真剣なまなざしでそう答えました。
小人は『ちっ』と舌打ちして
「やっかいごとはごめんだぜ、かんべんしてくれよ」
そういいながらも、家の中に手招きしました。
「今晩一晩だ。朝になったらパパのとこに帰るんだぜ」
「ありがとう…」
姫様は、ぎりぎりなセリフを歯牙にもかけず、家に転がり込むと
その場で泥のように眠ってしまいました。
「姫が城から追われるとは…城で何が起こってやがるんだ」
苦々しく城のある方角を眺めながら小人は言いました。
城で何が起こっているかは分かりませんが、姫の中では「耐久隠れ鬼」が進行中でした。
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