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小人が家を離れてまもなく、誰かが家の窓をノックしています。
「はい、どなた?」
姫はいきなり窓を全開にしました。
そこには紫色のフードで頭と顔のほとんどを覆った女性が立っていました。
「わたしゃね、リボン売りなのさ。
ごらん上等のリボンだよ。
お嬢さん、ひとつつけてあげようか?」
「まぁ、きれい。お願いしますわ」
目をきらきらさせている姫の目の前で、
リボン売りはおもむろに手術用と思しき手袋をはめ
さらにその上からゴム手袋をして、軍手をしました。
「まぁ、どうしてそんなに手袋をなさるの?」
姫は至極当然の質問をしました。
「こ…これは、もちろん商品を汚さないためですよ」
大慌てでリボン売りは苦しい言い訳をしました。
「そうでしたの。確かにこれならリボンを汚さず済みますわね」
姫は、心からリボン売りを賞賛していました。本当に頭の弱い子でした。
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