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 あれから何年かして、マンションの改修工事があった。あの貯水タンクも清掃やらされた。  大丈夫。  今さらばれたりしない。  ・・・・。  ・・・・・。  ・・・・・・?  何も騒ぎは起きない。次の日もその次の日も。  どうして?  私は思いきって母親に聞いた。 『前に私の同級生が居なくなったことがあったよね』  母親は痛ましそうな表情を浮かべた。 『ああ、あの時は大変だったわね。貯水タンクまで調べたけど・・・結局見つからなかったわね』 『・・・!』  貯水・・・タンク・・・?  ・・・・あの娘は何処へ?  鬼に見つかった人は・・・。  テーブルに置かれたグラスがちゃぷりと音をたてる。  気のせいだ!  あの娘が溶け込んだ水。水の中にはあの娘がいる。  私が殺したあの娘が。  ちゃぷん、ちゃぷん。
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