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まあ確かに突っ立ったままでも仕方がない。
私は促されるままに席についた。店員が丁寧な手つきで椅子をひく。
何とも大仰な喫茶店だ。だが丁寧な扱いを受けて悪い気はしない。店員は手にしていた蝋燭を席においた。
ぼうっと周囲が明るくなってぽつぽつとではあるが客の姿が見えた。
他にも人が居る。それだけで何だかほっとする。
古い感じはするが清潔感のある調度品が並んでいる。店主のセンスのよさが窺えた。
「すみません。急に停電したもので」
店員は申し訳なさそうに私に頭を下げた。
停電?そうだっただろうか?
そういえば今は何時だ?
だめだ。頭がまわらない。鈍く、ぐらぐらする。
私は何故ここに?
かたりと硬質な音がしてはっと私は頭をあげた。目の端に透明な液体をたたえたグラスが置かれている。
私は反射的にそれを払い除けた。
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