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「その日はいつも通りにみんなで集まって遊んでたの。今日は何をしようかって」
私がかくれんぼしようって言った。
「みんなマンションの思い思いのところに隠れるから探すのは大変だったわ」
その日は私が鬼だった。
階段の影、ダストシュート、マンションの公園まで使って隠れるからまるで予測がつかない。
街が黄昏色に染まっても、あの娘は見つからなかった。はじめの方に捕まえた子はあきてきたのか足をぶらぶらさせている。
「きっと、もう帰ったんだよ」
みんなが口々にそう言い始め、私も同意した。誰からともなく帰り始めた。
私も。
「・・・でも」
あの娘は忽然といなくなってしまった。大人たちにみんな色々聞かれた。
それきり誰も彼女の姿を見ていない。
「それでどうして水が嫌いに?」
「・・・・・」
僅かに私は躊躇いをかんじた。
言ってしまえば後戻りは出来ない。
「・・・それは」
ごくりと喉がなる。
「本当はね、私見てるのよ・・・あの日」
みんなを探していて・・・屋上まで上った。
そこで・・・。
私は・・・。
「屋上には貯水タンクがあるの」
私は俯く。
あの日。
忘れられないあの日の情景。
「あの日私は確かに人影を見ているの。たぶんあれが・・・」
あの娘。
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