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月下の涙痕
残月の 淡い光に導かれ
湖面に指先で触れた感触…。
孤独を風が優しく撫でれば
一粒の滴が波紋をつくり出す
残虐に生けし者達の刃の跡と
永遠と思われるかの如き静けさよ
耳の奥まで響く鐘の音が痛い…
浄化と流す聖者の血涙の如く
清らかに、ゆっくりと流れ落ちる記憶
それらは全て過去となってしまうのだろう
そして 薄れ 忘れ去られてしまうのだろう
尊い痛みさえ 嘆きさえ消えてしまうのか…?
過ちは二度と繰り返されてはならないのなら
何故 こんなにも悲鳴と血が溢れるのだろう?
天に捧げられた叶わぬ願い 届かぬ祈り…
そして今日も又、闇が食む様に月は盈ち虧けてゆく…
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