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恋多き女、されど実ることは少ない。
すべての恋が本気だったとは自分でも思わない。
けれど恋をして傷は増えていくもの。
本気になればなるほど、傷は増えていく。
去年の秋に私はパチンコ屋に就職をした。
その賃金の高さに釣られたようなものだ。
面接のときに「自分を動物に例えると?」という質問が紙に書かれていたのを思い出す。
私は「虎」と書いた。
ただの虎じゃない。
「猫のような虎」と書いたのだ。
そんなので受かるほど、パチ屋は入りやすい。
寮に入ることに決めて、京都の片田舎に引越することになった。
一人暮らしは初めてで、期待と不安でいっぱいだった。
一人暮らしを始めてみると、殺風景な部屋に淋しさを感じ出した。
職場の人とすぐに仲良くなって遊びにいけるような女じゃない。
ついでに職場はカウンター以外は男ばかり。
カウンターの女の子も私を入れて3人。
私を指導してくれる先輩社員とは、すぐに仲が悪くなって、あまり同じ時間帯に仕事に入らない。
寮には女は私と隣の部屋の夫婦、下の階に住む隣の店舗の恋人同士。
女の子は3階に部屋を与えられるけど、そんな数もいなければ、一人暮らしの女は私だけだった。
つまりは一人で暇しているのは女では私だけということだ。
しばらくすると友達はできた。
男だったけど。
そう。最初は友達だったその男が始まりだ。
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