105人が本棚に入れています
本棚に追加
2つ年下の男
奴はそういう男なのだ。
2つ年下。
けれど、どう見ても私より年上に見えるだろうと思える容姿。
笑うと八重歯が見えるのは少しかわいい。
車がなければどこにも遊びにいけないような、辺鄙な土地。
私は車を持っていなかったし、職場で仲良くなった男によく乗せてもらって、職場の人たちとご飯やカラオケやビリヤードにいっていた。
奴とはそうやって知り合って、携帯番号を交換してメールのやり取りをしたりして。
淋しい私は、奴を部屋に入れてしまった。
あとはご想像のとおり。
つきあってもいないのにセックスして、その相性はものすごくよかった。
お互いが認めるほどに。
体の関係はそうして始まった。
つきあうことはなかった。
私も言わないし、奴も言わない。
私の部屋によくきても、部屋で眠ることもなく、やることをやったら帰っていく。
それを淋しいと思わない私はいなかった。
ただ、つきあうことを考えた時に、私は奴とはつきあえないような気がした。
まわりが言うのだ。
奴の今まで手を出してきた女の話を。
そう。奴はそういう男。
そういう男に体から惚れていった私も私だけれど。
だからこそ、私は奴から逃げ出したかった。
一言も愛の言葉なんて交わさない、体だけの関係の人。
私に淋しい気持ちばかりを与えて、私を振り回してくれる人。
最初のコメントを投稿しよう!