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少ない休日を利用して、いきなり陽介の住んでる町へと行くことにした。
新幹線に乗れば片道30分ほどの距離だ。
金銭的にも片道5千円でいける。
東京へいくよりは全然近いし、金銭的にも痛くはない。
名古屋の駅についた私は、陽介に連絡をとる。
電話に出ない。
何度かけても同じで、1時間ほど駅で過ごしたあとに、電話があった。
「なにしとるんっ?」
「いくって言ったもん」
「だからって、こんな急に…」
困ったような陽介の声が携帯の向こうに聞こえる。
一人暮らしだって聞いていた。
私と一緒に暮らしたいと言ってくれた。
部屋の間取りとか、いろいろ話した。
ただ…、私は疑い深くなっていた。
陽介と出会った打ち上げ。
あの場にいた私の友達のボーカル。
彼と電話をしたときに、
「あいつ、彼女いるって言っていたと思うけど。
聞き間違い?」
そんな気になる一言を聞いたから。
陽介に電話で聞いても、彼女はいないとしか答えない。
その部屋にいけば、何かがわかるんじゃないかって思ったから、こうして突然きたのだ。
もしも陽介と会えなかったら、私は知らない町のネットカフェなんかにいっていただろう。
陽介の言った駅にいくと、陽介はそこにいた。
覚えていなかった顔。
松岡充に似ていると言われたことがあると陽介は言っていた。
まぁ、かわいい系の顔だった。
会ってみて思った。
この手の顔の人に彼女がいないとは思えない。
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