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「くっ……」
緊張して体が強張る。
手に汗握る白熱した勝負展開に一瞬の油断もできない。
ボーリングの球を掴もうとしても、手汗のせいでつるつるすべってなかなか思うように掴めない。
「彰ちゃん、もう負けを認めたら?」
俺の名前を呼ぶ声が耳元に聴こえてくる。
声のする方へゆっくりと視線をずらしていくと、そこには栗色のセミロングの髪をした細身の可愛らしい女の子が自信満々の顔をして、俺を見下していた。
俺の幼なじみで名前は水瀬璃菜(みなせりな)。
幼稚園の頃からの付き合いで、今でも一応仲は良いのかな。
今、その幼なじみの璃菜とボーリングの勝負をしているところだ。
この最後の一球に俺の勝敗は左右される。
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