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(前半)
銀髪の少女には双子の姉がいる。姉は妹と違って足が悪いが、見事な金髪をしていた。二人は顔も瓜二つで似ているが、その髪の色、美しさだけが違いだった。
だからいつも、妹は姉を妬んだ。
銀よりも金の方が輝く。
銀よりも金の方が硬貨も価値がある。
つまり、妹は姉より格が下だった。
ある晩の事だ。
物音に目が覚めると、そこに異形の影が立っていた。
異形の影は二つの紅い瞳を暗闇で不気味に光らせている。
なんだと驚いたが、すぐにその正体が分かった。昔、祖母から聞かされた事があったからだ。
人を愛すと神様が来るよ。
人を妬むと悪魔が来るよ。
きっと姉の事をずっと妬んでいたから、悪魔が来たに違いない。
同じベッド、すぐ隣で姉が背を向けて寝ている。
悪魔が何か言ったが、妹は何も聞かなかった。
悪魔が来たら耳を塞いでじっとせよ。
祖母から教えてもらった事だった。
その日はそれでやり過ごしたが、数日してまた同じ気配。
そうした日々が続き、その間隔も次第に短くなった。
今日は来るだろうな。
そう思って床につく。
だが来ない。
いつまで待っても来ない。なぜか余計、不安になった。
「起きてる?」
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