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「加藤ー」
「はい」
「倉田ー」
「ふぁーい」
「佐藤ー」
「はい!はいっ!」
「ハイは一回だボケ。次」
とうとう夜一の番が回ってきて、担任が銀と言おうとする。
「しろが…」
「すみません」
名前を呼ぶ途中で突然乱入者が現れ、担任の言葉を遮った。
見れば、教室の入り口に教頭が立っている。
担任も生徒も驚いた顔をして教頭を見つめていた。
「SHRを中断してすみません。銀君は居ますか?」
ザワッ
クラス中がざわめき始める。
担任も一瞬躊躇したものの、夜一の姿があるのを確認して名前を呼んだ。
「銀、ちょっと行ってこい」
「???」
頭に疑問符を浮かべながら、教室を出る。
廊下では、教頭が手招きして夜一に来るように指示していた。
小走りで教頭に近づき、質問する。
「俺に何ですか?」
教頭は穏やかな笑みを浮かべながら、優しく夜一に囁いた。
「ちょっと来てくれるかな?理事長がお呼びなんだ」
「理事長……?」
夜一が首を肩につくほど傾げると、教頭は短く頷きながら小さく囁く。
「君と直接話しがしたいらしくてね。何故かはわからないけど。今中等部の校舎にお越しになっているから、私が君を案内するように言われてね」
教頭はそう言って夜一を先導するように歩きだす。
訳が解らないながらも、夜一はその後を追った。
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