俺は、この世界に一人きりだ

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教頭を見送ってから、理事長はソファーに座り、夜一にもそうするように促す。 夜一がおずおずと理事長の正面に座れば、理事長は優しい笑みを浮かべて言った。 「そんなに緊張しなくてもいいわよ。楽にして」 「は、はい……」 そう言われても緊張するものは緊張してしまう。 夜一は理事長の目を直視できなくて、キョロキョロと視線をさ迷わせた。 この理事長……若すぎないか……? こんな時にどうでもいい疑問が頭を過る。 しかし、確かに理事長と言うには若すぎる年齢だった。 30代前半、いや、20代と言っても過言ではない程に若々しい。 中等部の校長の方が遥かに年老いている。 夜一の疑問を読み取ったのか、理事長はクスクス笑いながら自己紹介した。 「初めまして、銀夜一君。私は理事長代理を務める春風 日向(ハルカゼ ヒナタ)。突然呼び出してごめんなさいね」 あぁ、代理。道理で若い筈だ。 と、納得した夜一。しかしまだ不思議に思うことは山ほどある。 「……あの、何で俺を……?」 理事長が一呼吸置いてその質問に答えようとした時、校長室にノックの音が響いた。  
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