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「話が逸れてしまったわね。本題に入りましょう」
理事長の言葉に、夜一はドキッと体を強ばらせた。
続けて理事長は言う。
「銀君、率直に訊くけど……」
「な、何ですか……?」
何を訊かれるのだろう、と不安を露にする夜一に、理事長は至極真剣な面持ちで言った。
「今朝、河童を見なかった?」
「……………は?」
あまりにぶっ飛んだ質問に、夜一は一瞬思考が停止してしまった。
それからハッとして理事長を見る。
「な、何故それを……!?」
「じゃあ見たのね」
「Σしまった…!」
うっかり肯定してしまった夜一に、理事長は疲れたようにため息を吐いた。
「はぁ……まさか本当に見てたとは……」
「や、違うんです!たまたま朝早く来たら裏庭に河童と女子がいて……!
俺、何故か昔から意味不明な出来事に巻き込まれる体質で……その、なんて言うか、悪気があって見た訳じゃ……」
必死に弁解しようとする夜一。しかし自分でも一体何を言い訳しようとしているのか解らない。
理事長は怒る様子もなく、ただ夜一の弁解を聞いていた。
が、ある一節に興味を示したように目を輝かせる。
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