俺は、この世界に一人きりだ

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空は快晴。体調も快調。バイオリズムだって絶好調。 なのに、水色の空の下を歩く少年はどんよりと俯いている。 「ハァ~~……」 少年の名前は銀 夜一(シロガネ ヤイチ) まだいたいけな中学3年生。 受験生とはいえ、ため息は哀愁漂うおっさんと同じくらい深く長い。 「今日も散々な1日だった…」 夜一を一言で表すなら“普通" 。これがぴったり当てはまる人間だ。 容姿、成績、運動能力。 最悪と言えるほど悪くはないけれど、特に何かが際立って凄いというわけでもない。 性格の面においても、鬼のように厳しい厳格な性格でもないし、かと言って仏のように優しい心の持ち主という訳でもない。 さらに言えば、根性・やる気・向上心もない、典型的な無気力人間である。 その無気力という欠点も含めて、夜一は至って平凡な人間なのだ。 それなのに何故か夜一の周りはいつもトラブル、非日常の風が吹く。 これはもう体質と言っていいほど、彼は不運な星の元に生まれたらしい。 今日だって、夜一にとって散々な1日だった。  
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