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「あれって確か……」
夜一が記憶を呼び起こそうとしている間に、女子生徒は何か池に向かって叫び出す。
「……!…………!」
何を言っているかまでは聞こえない。
夜一が窓を開けて声を聞こうかどうか悩む暇もなく、池から何かが現れた。
「!??」
驚いて椅子から転げ落ちそうになった。
それもその筈、池からズルリと現れたのは
全身緑色のタイツ
頭にトゲのついた皿
鳥のようなそうでないような、平べったい嘴
両手両足にある水掻き
どう見たって……
「河童ーー!!?」
誰もいない教室で一人驚愕の声を上げる。
端から見れば頭のイカれた人だが、今は人目など気にしていられない。
第一、誰もいないから気にする必要もない。
まぁそれは置いておくとして、夜一は窓ガラスに貼り付いて河童と女子生徒を凝視する。
そんな夜一の存在に気づかず、口論を始めた二人(?)
「なんや!俺たちが悪い言うんか!」
「誰もそんなこと言ってないでしょう!?いいから言うこと聞けっつーの!」
「いやや!帰れ小便小娘!」
「なんですって!?八つ裂きにするわよ!?キュウリ男!」
夜一が少しだけ窓を開けると、そんな会話が聞こえてくる。
キュウリ男って……キュウリはただの好物じゃん……
なんて夜一が突っ込む前に、何とも奇妙な口論は佳境に差し掛かっているようだった。
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