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「人間のくせに、いてもうたる!」
「やれるもんならやってみなさいよ!下等妖怪!」
今にも殴り合いが始まりそうな緊迫した空気の中、女子生徒が発した単語に夜一は過剰に反応した。
「妖怪!?」
妖怪って、妖怪って………日本古来からいる化け物のこと!?
ハッとして気づいた時にはもう遅かった。
「…………」
「…………」
河童も女子生徒も、夜一の存在に気づいた様子。
目を細めてじーっと夜一を睨んでいる。
な、なんかめっちゃ見てる!?
その恐ろしいまでの眼力(片方は普通に存在してるだけで恐ろしい)に、夜一は底知れぬ恐怖を覚えた。
殺られる!?殺される!?
爪先から髪の毛の先にまで震えが行き渡り、背中ではドクロの面を付けた死の神様がケタケタと笑いながら鎌を構えている気がした。
『何見てんだコラ』
女子生徒の目がそう訴えているように見え、夜一は慌てて首を振った。
『み、見てません!見てませんとも!』
ブンブンと音がするほど左右に首を振り、アイコンタクトで必死に弁解する。
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