俺は、この世界に一人きりだ

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教室に戻ると、もう他の生徒がちらほら登校していた。 そーっと窓の外を見るが、誰もいない。 当然、河童も。 やっぱり幻覚? 幻聴?幻? クラスの殆んどの生徒が揃って教室がガヤガヤと騒がしくなっても、夜一の意識は別の方を向いていた。 裏庭にいた女子生徒。 廊下で遭遇した男子生徒。 トイレに出現した謎の女子生徒。 全員、どこかで見たことがある気がしていた。 それがどこだったのか、彼女たちが誰なのかが思い出せないのだ。 それが気になって気になって仕方ない夜一。 「う~……思い出せない……」 頭を抱えて必死に思い出そうとしていると、チャイムが鳴り教室に担任が入ってきた。 「うーっす。出席取るぞー」 そのまま始まった朝のSHR。 担任が生徒の名前を読みあげる間、夜一はボーッとその作業を眺めていた。  
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