キャリア偽装

そして再び転機へ

私は、まさに自分の状況だと、漠然とした不安に襲われましたが、一方でこのジレンマに対して、「私は違う！」という挑戦的な気持を抱きました。

それは、誰にでもある、ただの自惚れや現実逃避以外の何ものでもありません。

しかし、風俗嬢だった私が、普通の正社員になろうなどと、思ったのは、ジレンマを破ってやろうというこの思いからです。

　幸せそうな周りの人と同じように、ある意味平凡に生きたいと思い、私はスロプロになりました。普通に考えれば、平凡とスロプロは明らかに矛盾していますが、不思議なことにあの人たちの中ではそれが同居しているように感じられたのです。

　逆に、私がデパートの社員として勤めていた頃は、会社やお客様のためという使命感を持たされ、研修受けたりして、何でこんな特別なことをしなくてはならないのか、ただ普通に働きたいだけなのにと感じていました。
　しかし、そんな理由でスロプロになっても、結局はどんどん平凡からは離れて行くばかりで、同じことでした。こんなふうに、どちらにしても平凡に生きられないなら、世間で言われるジレンマから抜け出して、もう一度正社員になってやろうというのが、「私は違う！」というこの思いです。