妄想と偽装

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 しかし、激しい妄想はだんだんと鮮明になって行きました。  「私の勤めていたその小さな会社というのは、広告代理店で、従業員は私を含めて4名。事業内容は、いかがわしチラシから、飲食店のメニューやさらに広告のデザイン。また、時には、有価証券報告書や事業報告のような法定書類の編集や形式なチェック等、手広く取り扱っていました。」 「社長と営業担当2名は、カメラを持って撮影に行ったり、営業活動したりでほとんど事務所にはおらず、編集担当1名はほとんどデザインに没頭しており、私はその他の事務をほとんどしていました。」 「私の主な業務は、簡単な経理処理、売掛金管理、請求書の作成、営業担当のスケジュール管理、小口現金や預金の管理、また社保と給与計算でした。また、編集担当が面倒くさがってやらなかった、法定書類の形式チェックは私がやってました。」  こんな妄想がどんどん過剰になり、自分でもだんだんと本当のことのように思えて来ました。なお、これらの業務についての知識は、インターネットでいくらでも手に入りました。
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