第三話 「対面」

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「・・・・あの、家はこの辺りなんですか?」 「いや、実を言うとこの辺りには住んでいないんだ。・・・・俺にはここが何処なのか分かんねえし、今日はどっかで野宿かと思っていたときに襲われたから・・・・・・。」 「だったら、うちに来ませんか?部屋は有りますし、見鬼の力が有るみたいだし。それに俺のじい様が言ってますから。」 「いいのか?」 「はい!どうぞ。」 刹那は助かったと思い、少年の後に着いていった。 ふと、歩いているうちに、刹那は自分の名を言っていないことに気づいた。 「あのさ、名前教えてくれる?俺は刹那。真宮刹那だ。」 「俺は昌浩です!安倍昌浩と言います。そして、これがもっくんです!!」 「これ言うな!!それと、もっくん言うな!!晴明の孫!!!!!」 「孫言うな!!!」 「あれ?それってさっきの人?」 不思議に思い、聞いてみると返事は肯定だった。 「そうですよ。物の怪のもっくんです!」 「だーかーらー俺は物の怪じゃねえ!!!」 にこにこ笑って答えた少年――昌浩と憤慨した様子の物の怪――もっくんと共にそんなこんなで安倍邸着くと昌浩は門からではなく塀をよじ登って中に入っていった。 「(・・・・何故門から入らんのだ?)」 不思議に思ったが、あえて口に出さなかった。
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