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第四話 「家族」
「・・・・・ここは、・・・・。」
目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。
起きあがって周りを見渡しても、刹那には使い方など分からない代物が置いてあった。
すると、刹那の側から音がして振りかえって見ると、晴明の部屋で会った六合がいた。
「・・・・・・おはようございます・・・・・・。あの、ここは?」
「安倍邸だ。・・・・・・この部屋の隣が昌浩の部屋だ。」
「そうですか・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
「(きっ気まずい💧💧何かしゃべらないのか・・・俺にどうしろと💧💧)」
沈黙がやたらと続いた。かなり長い間続いた。
「(とっとりあえず、何か言ってみなくっちゃな!!)あの!!」
「・・・・・・・・・何だ。」
沈黙が痛いよ六合さん💧💧💧
「俺、着替えた方が良いですか?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
沈黙を肯定と取って良いのか、刹那がおどおどしていると、刹那を呼ぶ声が聞こえてきた。
慌てて返事をすると、扉を開けて入ってきたのは、優しい風貌の女性だった。
(この時入れ替わりで六合が部屋を出た。)
「おはようございます、刹那様。ご気分は如何ですか?」
「いえ、大丈夫ですえーっと・・・・・・・・」
「天一と申します。これから刹那様の身の回りの世話を仰せつかっております。」
「態々ありがとうございます。あの、着替えた方が良いんですか俺は?」
「はい。お召し物は此方になります。」
そう言って天一が取り出したものは平安時代の女性の着物――所謂十二単だ。
初めて見た十二単のそれはとても素晴らしい物だが、常日頃、男物ばかりを着ている刹那には少々抵抗のある代物だった。
刹那は顔を引きつらせたが、ここは泊めてもらった身、我侭は言ってはいけないと思い、しぶしぶだが、天一の手伝いもあって何とか着られた。が、
「おっ重い・・・!!」
余りの重さに刹那はぶっ倒れそうな体を何とか持ち堪えた。
軽く、これで10kはあるんじゃないかと思うほどだった。
「お似合いですよ、刹那様。」
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