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「ええ。とっても似合っていますよ。」
「変な所など無いぞ。」
今の刹那の格好は、露樹が用意してくれたもので、少々幼い顔立ちの刹那にはなんとも可愛らしい格好だった。
薄桃色の着物に紅い巾着、笠の下から覗く白い肌に少し、着物と同じ色に染めた頬。
まさに絶世の美少女。十人が十人振り返るであろうが、本人は全くの自覚無し。
「でも・・・・・・・・・・・・。」
「大丈夫だって。さあ、日が暮れちまう前にさっさと買い物して帰ろうぜ。」
「そうね、姉様行きましょう。」
刹那が頷くと彰子はお目当ての塩を買いに刹那の手を取って歩いた。
後ろから着いてくる二人はこっそりと刹那は鈍いんだと同時に思った。
市に入って暫くすると、彰子がいつも行っているお店に着いた。
「いらっしゃい、お嬢ちゃん。おや、今日はお友達と来たのかい?」
「こんにちは、おばさん。姉様と一緒に来たの。いつもの下さい。」
「あいよ、ちょっと待っててね。」
おばさんはそう言うと、慣れた手つきで塩を器用に袋に入れ、彰子に手渡した。
「はい、いつものだよ。」
「ありがとう、おばさん。また来るね!」
「いつもありがとうね。気をつけて帰るんだよ。」
「「はーい。」」
お金が少々余ったので2人は何を買おうか話し合った。
「姉様は何か欲しいものはありますか?」
「いや、ないよ。彰子は?」
「私もありませんが、・・・・・・・そうだ!昌浩ともっくんのための夜食はどうでしょう?いつも、夜警に出ているから歩きながら食べられる物がいいわ。」
「じゃあ、干し桃とかはどうかな?あれなら歩きながらでも食べられるし、ちょうどその店で買えるし。」
「そうしましょう!」
2人は干し桃を売っている店に向かった。
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