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第六話 「平平凡凡」
刹那が平安時代に来てから、一ヶ月が過ぎ、平穏な日々を送っていた。
今日は昌浩が物忌みという日らしく、昌浩は自室でまだくぅくぅと寝ていた。
その様子を見ていた彰子と刹那は露樹に任された任務を遂行すべく、互いに頷き合いこっそり音を立てないように部屋に入り、スヤスヤ眠る昌浩の茵を勢い良く捲った。
「おっきろ!昌浩!朝だぞー。いつまで寝る気だ!!」
「むぅぅぅ~、もう少しぃ・・・・・・。」
そう言うと昌浩は近くにいた昌浩は体を丸めるようにまた眠ろうとしたが、彰子に妨げられた。
「昌浩、起きて。朝餉、片付けられないわ。」
昌浩の耳元で呟くと、刹那では効果が無かった昌浩が勢い良く起きると、「さぁ朝餉だ!」と元気良く言った。
昌浩を起こす事に成功した二人は早く来るようにと言うと部屋を出た。
朝餉を食べ終わった刹那は暇になったので、昌浩の部屋を訪れた。
「昌浩、何か本貸してくれる?俺でも読めそうな本を。」
「いいよ。ちょっと待って。」
暫く、部屋の中にある本を見て、これならどうだと思う本を刹那に渡した。
「これなんてちょうど良いと思うけど、分からない所合ったら言って。」
「ありがとう。」
刹那は早速一枚目を捲るとびしりと固まった。
「・・・・・・なあ、昌浩。何でこんな字が読めるんだ?さっっっぱり読めない・・・・・・。」
「えっ、普通でしょ?これくらい。俺よりきれいに書かれてるし。」
「マジで💧💧・・・・。」
ため息をつくと刹那は他の事をしようと思った。
「よしっ、なぁ昌浩、お前の仕事っていつもどんな事してるんだ?俺知らないから教えてくれ!」
「ふぇ?仕事?殆ど雑用だよ。あっちこっち駆け釣り回ってるよ、もっくんと一緒に。」
「もっくんも着いていってるのか?いいなぁ、俺も行ってみてぇ!!」
「むっ無理だよ!!内裏は女人禁制なんだから!刹那は入れないよ。」
昌浩に言われてがっくりと肩を落とした刹那だが、次の瞬間にやっと、まるで良い考えが浮かんだとでも言うようないたずらっ子の顔をした。
その様子に、昌浩はサァーと青くなり、もしかしてと思った。
「・・・・・・・女じゃなければ良いんだな。なら、男装していけば良いじゃん。俺ってあったま良い!!」
実に嬉しそうに笑う刹那に今度は昌浩がっくしとなることとなった。
自分が報われる日はいつ来るであろうか、もしかしたら来ないかもと思い始めた昌浩であった。
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