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白銀の世界。音さえも失ったような、静かな風景。
真っ直ぐに灰色の空を目指す木々に囲まれた、不自然な程に開けた空間に、その異質な存在は、いた。
「…見つけた」
呟くと、足音を立てることなくゆっくり近づく。
湖の畔に佇んでいたその存在は、顔を上げることなく口を開いた。
「何者だ」
答えは返さない。
躊躇ことなく近づく気配に、その者の纏う空気が一瞬、鋭さを増した。
異質な存在―――佇む男は、僅かに顔を上げる。
舞い落ちてくる銀雪のような髪の奥から、鋭く細められた黄金の瞳がちらりと覗いた。
「お前の望むものをあげよう」
聞き取れない程に小さく囁く。
唇を歪め、笑みを形作る。
男の射抜くような瞳が、揺れた。
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