『イチ』  ~沈黙の天上、うごめく内腐~ 

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      だんだん消えていくくらいなら        今燃え尽きた方がマシだ――。          そうは思わないか?         それならいっそ      破滅的に?        そう、          カートのように。            でも彼は何かを成し          俺は何も成してはいない。          そう、          なにひとつ。                そんな時に  たまに声が邪魔をする。            結構、結構――。  何もなかったことになるだけじゃないか。  初めから、  お前など、  存在しなかった頃にさ  ・・・          声は、腹立たしい誘惑を持ち掛ける。          そんな時の言い訳は       いつも同じだ。          自分の人生は、  自分で決めらぁ。              声は        空から笑い声を降らして、  天上から遠く地面を這う俺に、          屈辱を浴びせる。              ニゲラレナイヨ  オマエハ            チヲハウムシケラ            ムリョクナ  タダノ          ニクノカタマリ――。            小さな穴から  狭い世界を爪先立ちで、  やっと見る。            存在価値  存在意義        くそくらえ――。          俺は嫌いだ。  お前が、  声が嫌いだ。          明るいもののすべて    優しく暖かいもののすべて    前向きで騒がしいもののすべて    太陽の似合う奴ら    汗が似合う奴ら              なんもかんも、だ――。              チクショウ。              呟いたのは、  俺だろうか?          それとも、    声か―――。         
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