『イチ』  ~沈黙の天上、うごめく内腐~ 

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…家政婦たちは、 …俺をさん付けで呼ぶ。 時には 「坊っちゃん」と。 親父がどれ程の給料で 彼女たちを雇っているのかは、 知らない。 なんにせよ家政婦たちは、 俺には親切で 気配りを欠かさず 俺を病弱と決めつけているらしく 毎日のように具合はどうかと訊いてきた。 「…別に、どうも」 俺の返事はいつも同じだ。 言うべきことは なにもない。
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