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  「いやあ、美味かった」  そう言って彼はゲップをした。腹がまるで丘のように膨れている。何を食べたのかと私が問うと、彼は腹を軽く叩いて、『なあに、さっきの男の悪夢をさ』と言った。 「久しぶりに夢のある夢だったなあ」  あれのどこに夢があるのだろう。むしろ私は絶望的な夢だと感じたが。  あの男はあの後、背後にいた私の姿を見て絶叫し、夢から覚めてしまったのだ。全くもって意味が分からない。  なぜ男が私を恐れたか。彼に聞いても『ああ』とか『うう』とか言うだけで、明確な答えは返って来なかった。きっと、彼も知らないのだ。 「そんなことより、次行くぞ次い!」  そう、酔っ払いのような台詞を吐いて、彼は再び私の襟首を掴んだ。まだどこかへ行くつもりなのか。 「今夜は寝かせねえぜ!」  それを言うなら、既に寝ているので無効である。ここは夢の中なのだから。  そんな私の思いなど知るよしもなく。上機嫌な彼は再びふわりと飛び立った。  首が、締まる。  
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