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  「ららら、らんらら」  その女は空を自在に舞っていた。重力も知らずにふわりふわりと、歌を口ずさみながら。彼女を縛るものは何もない。 「ららら、らんらら」  自由過ぎるその身は思考すら忘れ。心の中までふわり、ふわり。  自分自身にも縛られず。感覚までも忘れた彼女は、ただ宙を舞うだけの歌、それそのものとなっていた。 「ららら、らんらら」  ふわり、ふわり。  ららら、らんらら。  ふわり、ふわふわ。 「平和だなあ、おい」  
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