悪意無き殺戮者

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風の吹かないある日の夜  夜の森に何かを斬るような音が聞こえる。   「ガァ!!」   角の生えた熊が吠え何かに攻撃する。   「……」   熊よりも遥かに小さい何かは熊を見ずに、大きな漆黒の鎌を振り降ろす。 まるでそこには空気以外に何もないかのように刃は走り地面に突き刺さってようやく止まる。熊の首から上と右腕は斬り跳ばされていた。   小さな何かは吹き飛ばした右腕まで歩を進め、それを掴むと何の躊躇いもなく食べ始める。   月が真上に上る頃、月が何かと周りを照らした。   小さな黒髪の少年と。   首と胴体が離れたたくさんの死体を。   月を見上げた少年の目は血の色をしていた。
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