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「ん~…確かこの森ね」
緑色の長い髪をした女性が暗い森の前で呟いた。
「中に入った者は誰一人として帰ってこない森……『神隠しの森』ね。夜になると何かの悲鳴が聞こえるらしいわね…。まっ、ある程度進んで夜まで待ってみますか」
女は軽い足取りで森に入っていく。
まだ日の登りきらない昼前の事だ。
道無き道をある程度進むと、少し背の高い木を発見し、それによじ登る。
「この木の上なら襲われることは無いでしょ。夜まで寝よ」
女は言い終わるとすぐに寝てしまった。
首には銀色の翼の形をしたネックレスがかけられていて、太陽の光を受け煌めく。
夜、月の光さえ微かにしか届かない森に悲鳴がこだまする。人、動物、魔獣……悲鳴が紡ぐ唄は酷く歪だ。
女は耳を塞ぎたくなるような声に早く反応し飛び起きた。
「来たわね…。さっさと依頼を終わらせますか」
女は足に風を纏い、木を跳び移りながら声のした方に駆ける。
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