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「……」
少年は今日も向かいくる生物達を殺していた。死体の中には人もある。細切れ、とまではいかないが四肢は切断され見るも無惨な死体。
その内の一つ、腕の一部は半円形に削がれていた。恐らくはかじったのだろうがしかし一口だけだった。不味かったのだろう、吐き捨てた肉片が近くにある。
パキン……
何かが踏みつぶされた音がし、少年はゆっくりと振り返った。
3メートルはあるだろうか、角を持った熊の様な生き物が敵意をむき出しにし、少年を睨んでいた。
「……」
少年はお気に入りの生物を見つけた。角を持った熊。
この森で一番強く、一番美味しいので気に入っている。
少年は口角をつり上げ、熊に駆け出した。
あと数歩で餌にありつける。
しかし少年より早く、熊にもう一体何かが近づき、剣で頭を突き刺し絶命させた。
少年の前で熊は緑色の何かに殺された。
「君、大丈夫??血だらけよ??」
少年には緑の生き物が何を言ってるかわからないが、二つだけわかったことがある。
餌を捕られたことと、餌より強いこと。
少年は満面の笑みを浮かべた。
強者と戦うことができると。
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