入団試験

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グシャ、という肉の砕ける音がした。 リーゼは詠唱中にも関わらず、思わず顔を上げ、クリスに視線を向ける。 『ヌゥ……今のは効いたぞ』 「当たり前だよ、痛くしてんだから」 神白の右前足に青色の刀身を持つ大剣が突き刺さっていた。 神白の美しい純白の体毛は真っ赤に染まり、身体は右に傾いている。 リーゼがその光景を見て、唖然としていると、クリスは苛立ったように叫ぶ。 「リーゼ、急げ!!」 長くは保たない、とクリスの目がリーゼに訴えていた。 『腕が震えているぞ、『青色の悪魔(ブルーデビル)』」 「僕はあの子に花をもたせてるだけさ。 後、その名で僕を呼ぶなよ、狼のくせに」 神白の手前、辛いとは言えず、クリスが虚勢を張り、時間を稼いでくれているのはリーゼにも理解出来た。 慌てて詠唱を再開する。 師匠を唯一唸らせたこの魔術。 必ず、成功させてみせる、と自分に言い聞かせるリーゼ。 詠唱は最終段階に入る。
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