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「や、やった……」
地に伏し、動作を完全に停止した神白。
リーゼは地面に座り込み、安堵感に包まれながら、溜め息をつく。
「どうやら、決まったらしいね。
まあ、コイツら番人は『輪廻転生』の歯車に入ってるから死なないけど」
クリスも倒れている神白に一瞬だけ視線を向け、リーゼの元へ歩き出す。
「『輪廻転生』って確か、肉体は入れ物に過ぎず、魂は永遠に回帰し続けるっていう考え方よね?」
リーゼは師匠の資料庫で読んだ魔導書の内容を思い返す。
魔導書はそういった考え方も魔法に応用出来るとされ、色々な知識、論理、思想が詰め込まれていた。
「ああ、で、コイツらその歯車」
「……歯車?」
「まあ、簡単に言えば、死なないわけ。
もちろん、この塔から出たら即効死ぬけどね」
「どうしてそんな能力を?」
「さあね、十字騎士団に訊いてみないと何とも言えないけど」
「ねえ、十字騎士団ってそんなにーー」
リーゼの問いを阻むように、2人の背後で『ソレ』は立ち上がった。
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