規則

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「うちはそういうサークルなのさ」 「けど……皆、内心では……」 どう思ってるか何てわからない。 リーゼはそう口に出そうとして止めた。 アンディの白く、細い手がリーゼの頭の上に乗っていたからだ。 アンディは真っ白な歯を光らせながら、笑顔でリーゼにウィンクした。 「皆、全く気にしてないはずさ。 もちろん、僕も含めてね。 このサークルにいる内に、不思議と皆、そうなってしまうんだよ。 だから、しばらくここにいなよ。 きっと、居心地は良いと思う」 「……でも、試験は……」 あれだけ足を引っ張って、合格だとは思えなかった。 ボスのティアは厳しい人物で有名だった。師匠の知り合いとは言え、そう甘い判定を下してくれるとは考えにくい。 「ああ、あれは形だけ」 「……え?」 「特に意味なんて無いんだよ。 ただ、形式上ってだけ」 アンディの発言に目を丸くするリーゼ。 そんな集団は初めてだった。 どんな組織だって試験はある。 それがこの国のルールだった。
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