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「まず、魔力を持たない普通の人間」
言葉に合わせて、リーゼは薬指を折る。
「僕やアンディの事だね」
あえて、ハジキをスルーするクリス。
確かにあの男は色々な意味で普通とは言え無かった。
「次に、魔力を持つ人間、私達、魔術師」
リーゼが中指を折ると、クリスも頷く。
「最後に、人間の理解出来ない力を使用できる、能力者」
「『察知系』のシルフィだね。
けど、女王様は能力者でも、魔術師でも無いんだ」
「じゃあ、何者なのよ?」
リーゼの問いに首を横に振るクリス。
それは彼にもわからないという事。
「とにかく、あの人は謎が多いんだ。
まあ、あまり詮索しない方が良い」
「……誰にでも知られたく無い事はある、って言いたいんでしょ?」
「うん、そういう事だよ。
ま、徐々に慣れていけば良いさ。
じゃ、僕はもう寝るから、おやすみ」
クリスは手をヒラヒラさせながら、屋上を出て行ってしまった。
「……慣れていけば良い、か……」
いくつもの流れ星がリーゼの冒険の始まりを祝福するように、夜空を輝かせた。
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