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近付けば近付く程、リーゼはその城の大きさに圧倒された。
真っ白な壁や屋根はこの王都、あるいは聖都に相応しく、美術に詳しく無いリーゼも、この建物は素晴らしいのだろうと感じる程だった。
「……素晴らしいですよね」
「……うん」
そうして2人がホワイトキャッスルを鑑賞していた矢先、上の方が騒がしくなり、リーゼ達の視線を少し上に上げたぐらいの位置にあるテラスから、人が飛び降りた。
「……ひ、人!?」
「危ない!」
シルフィの叫びと同時に、人影は露店の屋根に向かって落下する。
露店の屋根は薄いシート、人を支える程の体重は無い。
リーゼは思わず目を瞑った。
しかし、いつになっても、人が地面に衝突したような音はしない。
リーゼが恐る恐る目を開けると、落下した人影、正確には美しい顔立ち、絵本から飛び出したお姫様のようなその少女は、乱れた金髪を押さえつけ、悠然と立っていた。
「あの人は……!」
シルフィの呟きとほぼ同時に、その少女は露店の屋根から素足で飛び降りる。
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