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少女は雲のようにふわりと舞い降り、地面に音も立てずに着地した。
「……其の方、履く物を譲れ」
その高圧的な態度に、リーゼのこめかみに青筋が浮かぶ。
「……何でアンタみたいな不審者に靴を譲らなきゃいけないのよ」
「リーゼさん、この方はーー」
シルフィが仲裁に入ろうとするが、2人は睨み合い、全く話を聞こうとしない。
「全く、品位の欠片も見当たらないな」
「あの高さ飛び降りたアンタに品位について言われたくは無いわね」
「その格好……魔術師か。
フン、何じゃ、その珍妙な髪の色は……」
リーゼの桃色の髪を指差し、少女は鼻で笑う。
その態度にリーゼの怒りは爆発寸前。
「シルフィ……手術の準備を」
「で、ですから……お二人とも、私の話をーー」
シルフィが慌てふためき、手を拱いていると、遠くから馬の足音が近付く。
「姫様ーー! ユーア姫は何処にーー」
「くっ、もう来たか!
其の方、その珍妙な帽子を貸せ!」
金髪の少女はリーゼの紫の帽子を奪い取り、目元まで隠れる程、深く被る。
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