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「ア、アンタ……調子に乗ってんーー」
「待ってください、リーゼさん!」
シルフィが突然、青白い手を突き出し、リーゼの口を塞ぐ。
その死人のように冷たく、血色の無い手と、シルフィの真剣な表情に、リーゼも反論を止めた。
その間に騎馬隊は3人の元を去っていく。しばらくすると、金髪の少女はシルフィの背中から離れ、2人と向かい合う。
「流石じゃ、機転が効くのぅ、シルフィ」
ようやく、目の前にいる灰色の髪の少女が知り合いであるシルフィだという事に気付き、金髪の少女は微笑みを浮かべた。
「お久しぶりです、ユーア姫」
「……冗談でしょ?」
目の前の人物はとても王女には見えない。確かにドレスやアクセサリーの類は高級感を漂わせているが、素足や先程の言動からはそうは思え無かった。
「いえ、この方は正真正銘の王女様です」
「フン、ようやく自分の立場がわかったようじゃな」
威圧的な視線を送るユーアに、リーゼはただ、驚くしか無かった。
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