逃亡者

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『……おっ、シルフィちゃんお帰り! それに新入りのお嬢ちゃんに……? アレ、カワイイ子ちゃんがもう1人?』 3人が共同住宅の前に辿り着くと、無数の荊と共に『喋る薔薇』が出迎えた。 「……ただいま、ピーターさん。 こちらはユーア姫様よ」 『ユーア、ユーア……お姫様ァ!?』 「ほぅ、喋るとはこれまた珍妙な薔薇じゃな……」 絶句する薔薇を珍しそうにポンポン叩くユーアにリーゼは呆れる。 すると、シルフィが突然、後ろを振り返った。 「……どうかしたの、シルフィ?」 「今、誰かに見られてたような……」 シルフィはじっと通りの方を見るが、誰もいなかった。 「多分、気のせいじゃない? ここまで隠れながら来たから、神経が敏感になってるんだと思うよ」 「そう、ですかね……」 納得のいかないシルフィと、ピーターで遊んでいたユーアを連れて、リーゼは共同住宅の庭へと足を踏み入れて行った。 これから始まる冒険の事など、まだ知る由も無かった……。
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