逃亡者

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「で、我らが麗しの姫君はどうなさったのかな? 貴女が城を飛び出すぐらいだから、この国に危機でも迫ってるのか?」 ティアの質問に首を横に振り、ユーアはティアと視線を交え、口を開いた。 「……実は」 「実は?」 「……」 「……」 部屋の中に不気味な沈黙が流れる。 せっかく到着したのに、もう国の危機なの、と内心、とんでもない場所に自分を送りつけた師匠を恨む。 今、思えば、緊急時以外の転移の使用を禁じたり、食事のために新薬の被験者にされそうになったりと、とんでも無い師匠に弟子入りしたなとーー 「家出じゃ」 「……家出?」 「……え?」 「……ハァ?」 キッパリと言い切ったユーアの言葉に、ティア、シルフィ、リーゼは目を丸くする。流石に王女が家出は無いだろうと、言いかけるがユーアはさらに喋る。 「昔から鬱憤が溜まっていたのじゃ……。変な言葉遣いを仕込まれる、毎日毎日、周りに誰かがいるし、勉強や鍛錬で遊戯の時間も無い。 好きでも無い奴らとお見合いばかりさせられて……私は自由になりたーーい!」
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