367人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
「で、我らが麗しの姫君はどうなさったのかな?
貴女が城を飛び出すぐらいだから、この国に危機でも迫ってるのか?」
ティアの質問に首を横に振り、ユーアはティアと視線を交え、口を開いた。
「……実は」
「実は?」
「……」
「……」
部屋の中に不気味な沈黙が流れる。
せっかく到着したのに、もう国の危機なの、と内心、とんでもない場所に自分を送りつけた師匠を恨む。
今、思えば、緊急時以外の転移の使用を禁じたり、食事のために新薬の被験者にされそうになったりと、とんでも無い師匠に弟子入りしたなとーー
「家出じゃ」
「……家出?」
「……え?」
「……ハァ?」
キッパリと言い切ったユーアの言葉に、ティア、シルフィ、リーゼは目を丸くする。流石に王女が家出は無いだろうと、言いかけるがユーアはさらに喋る。
「昔から鬱憤が溜まっていたのじゃ……。変な言葉遣いを仕込まれる、毎日毎日、周りに誰かがいるし、勉強や鍛錬で遊戯の時間も無い。
好きでも無い奴らとお見合いばかりさせられて……私は自由になりたーーい!」
最初のコメントを投稿しよう!