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「……で、出て来たのか?」
「その通り!
儂……いや、私に他に知り合いはいないのでね。
このサークル『流星』になら安心して身を置ける」
頑張って言葉遣いを直そうとするが、なかなか直らず、その美しい顔をしかめるユーア。
「しかし、流石に匿うのはなぁ……」
「軍の方に気付かれたら大変な事になりますね……」
考え込むティアとシルフィの姉妹を前に余裕の微笑みを浮かべるユーア。
「もちろん、タダとは言わせんぞ」
「いやいや、いくら貰ってもーー」
断ろうとしたティアの前にドン、と音をたてて革袋を置く。
その拍子に革袋の口から金貨が数枚、テーブルを転がる。
「いつの間にこんな物を……」
「腰に引っかけておいたのじゃ。
時間が無くてそれしか持ってこれ無かったのじゃが、匿ってもらえるならその10倍は礼を出そう」
驚くシルフィに胸を張るユーア。
リーゼは革袋の中を覗き込み、絶句。
「……本物?」
「ああ、それなら当面の生活費の分も賄えるじゃろう」
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