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長かったような短かったような暗闇を抜けると、そこには見た事もないような風景が広がっていた。
「なんっっじゃこりゃぁあ!!」
龍之介が驚くのも無理はない。辺り一面雲のもようなものが見渡す限りにあった、彼は今その上に立っている。
空という概念があるのかわからないが、上を見渡すと薄いオレンジがかった優しい色をしていた。
遠くには幾つか建物もあるが、そのほとんどが教会のような形をしていた。その中に一際大きな円形の建物があった
「どうだ、ビックリしたか?」
「何ここ!?天国か何か?」
「いや、天国ではない。まあ、あの世には違いないな」
そう淡々と話している横で、龍之介は地面のフワフワとした感触を楽しんでいた。
「お前俺の話聞いてる?」
「あ、聞いてます、はい。‥‥そうだっ、早く生き返らしてくれよ!俺はその為にここへ来たんだよ!」
「まぁそう焦らない、焦らない。これからあるところへ連れて行く、俺が手を貸してやれるのはこの辺までだ、後は龍之介、お前次第だ。」
「わかったから早く連れてってくれよ」
龍之介はまだ知らなかった、これから自分がやろうとしている事が、どれだけ大変で過酷なことなのかを、そして背負うものの大きさを。
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