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りつ兄と俺が通うのは、公立の上条(カミジョウ)高等学校。
家からバスで10分の距離だ。
りつ兄は茶色いミディアムヘアを風に靡かせながら、「今日は秋晴れだね」と言った。
俺は自分の茶色い髪の毛を指先でいじくりながら「そうだね」と応えた。
俺は身長163センチ。
りつ兄は176センチ。
並ぶと、俺の身長はりつ兄の口程しかない。
お陰で、並んで歩くと俺の小ささが目立ってしまう。
体格の差が…(泣)
似ている部分は茶色い髪の毛くらい…。
「ななちゃん?どうしたの?」
「んー…?俺とりつ兄の身長差が憎いなと…」
「なんで?俺は小さいななちゃん好きだよ?」
「小さいって言うなっ」
頭をクシャクシャ弄られ、ワックスで盛った髪の毛がヘニャっとなった。
「あー!せっかくワックス付けたのに…」
「こっちのななちゃんの方が可愛い♪」
「うー…///」
ななちゃんと呼ばれることに抵抗は無いが、やっぱり少し悔しかった。
「どうしたの?早く行くよ?」
「わっ///」
手をグッと引かれ、強く繋がれた。
通学中の女子高生達がキャー!と言った。
なんだ?何故悲鳴をあげるんだ?
俺は疑問を持ちながらも、りつ兄に握られてる手を見た。
少し大きくて温かい手が俺の手を包んでる…。
カァっと頬が赤くなるのが分かった。
「…りつ兄…っ…恥ずかしいよ…///」
「ん?んじゃ、こうすれば良いよね?」
りつ兄は俺と繋いでる手を、自分の制服のポケットに突っ込んだ。
「っ…///」
「ほら、暖かいし恥ずかしくない♪」
十分恥ずかしかったが、りつ兄の柔らかい微笑みに口を紡ぐしか出来なかった。
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