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「天険の地とは聞いていたが……なんと陽光に満ちた土地だろうか」
山々に囲まれた、その閉鎖された場所は世の戦乱に影響を受ける事なく、その四川はただ煌めきを増し大地は肥え、大いに稔り、人々に笑顔は絶えなかった。
益州、またを蜀。左将軍劉予州が群雄割拠の末この場に本拠を構え、先年漢中王を名乗るに至りその勢いは天を突くばかり。
「晩年はここで過ごすと決めていたのだ」
西暦219年春、魏王曹操の元で侍中として働いていた黄賀はその職を辞し、運命の土地に一歩踏み出したのだ。
続く。
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