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全身に無数の返り血を浴びた少年が男を見下ろす。すでに他の男達は倒され、水溜まりに突っ伏している。
「散々いたぶってくれた礼だ…なぶり殺してやるよ……」
「ウワァァァァァァ!」
「う、うう…。」
雨に打たれ、冷えたコンクリートが痛む体を冷やし、少年はゆっくりと意識を回復させた。ずぶ濡れの半身を起こす。
「一体俺は何を…。」
「気がついたか…人間よ。」
「うわぁ!な、何だお前!」
やおら横から低い声が聞こえ、慌ててそちらを向く。 目の前にいるのは狼。それも銀色の髦(タテガミ)を持つ銀狼…そいつは狛犬の様に座りながら少年の瞳を真っ直ぐに捕らえ話しかけてくる。
「我が名は“ジフ"…貴様の強き念いに共感してやってきた。」
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