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(俺は…夢を見ているのか…?)
リーダー格であった男は呆然と立ちつくしている。目の前で起こるありえない現実から逃避するように。
「う、うわぁ~!」
「ッ!!カハッ!」
惨劇…その言葉が当てはまる状況だった。相手は県下でも有名な暴力中学をたった一年で支配した言わば伝説の少年。だが力を使えば造作も無く倒せる(実際さっきまで一方的だった)ただのガキのはずだった。こっちは10人以上で取り囲みそうとうな傷を負わせ、さっきまで立つ事もままならない状態……のはずだった。
しかし、現実は違っていた。地に伏していた少年がぞっとするような笑みを浮かべながら立ち上がったかと思えば、急に力(そうとしか思えない)を使い、周囲で野次を飛ばしていた男達を次々と倒している。―両目を白銀に輝かせて。
「チッキショウ!!」
怒りと共にやけくそに突っ込んでいく奴もいるが、数秒と経たず地に付している。バットや鉄パイプも効かず、あまつさえ力を持つ奴すら倒されている。
(早く逃げなければ)
頭ではそう思っても、少年の発する殺気に体は言うことを聞かず、地べたでじたばたするしかなかった。
「…さて、待たせたな」
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