名前

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ここは僕、神堂実栗が通っている県立の男子校。 僕は一年生になったばかり。でも僕にはもう好きな人ができた。 三年生の斎藤奏芽先輩。 先輩は優しくてかっこよくて爽やかで……とにかく僕の理想の人なんだ。 『あっ、神堂君。こんなところで会うなんて珍しいね。』 それもそうだ。ここは滅多に一年生はいかない、主に三年生が使う廊下だから。 『斎藤先輩がいるかな~と思って来ちゃいました。』 『ん?何か用事でもあったの?』 用事なんかない。ただ一秒でも長く先輩といたかったから。 『特にはありませんけど…あっそうだ。』 『どうしたの?』 『僕のこと、名前で呼んでください!』 は、恥ずかしい…。断られたらどうしよう…。 『いいよ。実栗君って呼ぶね。俺のことも奏芽でいいよ?』 『はいっ!ありがとうございます、…奏芽先輩///』 『弟ができたみたいでなんか嬉しいな。』 弟……。 やっぱり僕はそのくらいの存在にしかみられてない…。 いっそ好きだと言ってしまおうか…。 そしたら先輩も僕のこと見てくれるだろうか? 『奏芽先輩の弟ですか!?嬉しいです。』 やっぱり言えない。この関係を壊したくない…。 弟でもいい。 いつか勇気がでたら、その時は。 だから、今はまだ……。 この言葉は封印しておこう。  【好きです、奏芽先輩…】 いつか伝えるから… だから待っていてくださいね… END
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