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一瞬 体が固まったけど すぐに笑顔を作る。
『どうしたんですか?
大西さんらしくないですよ』
『何もしないよ。
一晩 ただ抱き締めて寝たいんだ』
静かに大西さんは言葉を続けた。
何もしないとか そんなのあるわけない。
『正直に言えば 嫌です。
私 お客様と そういう事はしませんから』
その言葉に 大西さんの息が少しだけあがるのが分かった。
『梳羅に いくら使ったと思ってるんだ!!』
今までに見た事ないような大西さんの顔に私の笑顔もなくなる。
私は 気が長い方ではないと思う。
だから この時も言ってしまったんだ。
口癖になった あの言葉。
『大西さんには本当に感謝してます。
でも 私が欲しいとネダったわけじゃない。
店に来てくれと お願いしたわけじゃない。
sexしたいなら 他の子を指名してください。
そういう目的なら 私は もぅ 大西さんの指名は いりません』
キャバ嬢としては よろしくない発言。
私は そこで笑って あしらえるほど 大人ではなかったんだ。
その後 大西さんは嫌みのように他の子を指名して店に通っていた。
でも 気にならなかった。
それどころか せいせいした気持ちさえ あったと思う。
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